先頃、サッポロホールディングスが、不動産事業に外部資本の導入を検討することを発表しました。不動産の売却を含めた保有形態の多様化を検討し、そこでプールした資金を、ビール事業のM&Aなどに集中させるという構想です。自己資本利益率の中長期的な展望として10%以上を標榜していますが、いずれにしてもカバレッジしてきた不動産収益を見切るというのは、リーダーの強い意志と覚悟を感じます。酒税改定など、ビール事業を後押しする好機と捉えることもできますが、リスクを内包しつつ、かなり大胆な攻めの経営です。
前回のコラム(事業変革の必要性―不確実な経済状況下での挑戦)で再三、変革にあたっては、企業の収益の軸足、根本を再確認する作業と、リスクを許容する覚悟の重要性についてお話しました。まさに本トピックなどは、その好例でしょう。「私達は何者なのか?」という自社の歴史を紐解き、原点回帰から攻勢に転じる―デジタル化に軽々と飛びつく以前に、自社のアイデンティティを沈思黙考する姿勢は、まさに変革への第一歩であるといえます。
◆執筆者:Fabeee株式会社 代表取締役 CEO 佐々木 淳
◆撮影場所:SPACES新宿……